こんにちは、おつな( @by0027 )です。
先日、こんなツイートをしました。
久しぶりに専門時代の友だちと会ってるけど、彼女の絶望的な過去話を聞いてあ然としている(°-°) pic.twitter.com/2SRJWrLcHx
— おつな 🌱 (@by0027) August 4, 2020
久しぶりに専門時代の友だちと会ってるけど、彼女の絶望的な過去話を聞いてあ然としている(°-°)
私たちは大阪あべの辻調理師専門学校(友人は製菓専門)の同級生で、学生時代は同じ寮に住んでいました。1年間ひとつ屋根の下で一緒に暮らしていたので、もう家族のような存在ですね。
今回はそんな家族(姉ポジション)のさっちょが新卒で入ったお菓子屋さんの、想像を絶するブラックな実態をお届けできればと思います。
今回の主役:さっちょ
La Perle代表
さっちょ ( @yukie.saito )
さっちょは山形県山形市出身、洋菓子一筋のパティシエール13年目。現在は新商品の開発や監修・レシピ提供を行っています。一度決めたら一直線で、貪欲にやりきる意思の強い女の子です。
そんなさっちょは専門卒業後、どんなところに就職したのでしょうか。
劣悪な労働条件
「お菓子業界の上を目指したい!」という向上心を持っていたさっちょは、大阪あべの辻製菓専門学校を卒業後、地元山形へ帰ることなく上京しました。東京では洋菓子会の巨匠と呼ばれるクラシカルなお菓子屋さんに就職したそうです。
勤務時間は忙しくない時で朝6時30分から21時まで。1日14-15時間労働が日常。休みは週1日。タイムカードを押すことすらない職場でした。
そこでの初任給は手取り10万円。
5年後、退職する時の手取りは13万円程とのこと。この頃には焼菓子責任者というポジションに就いていたにも関わらず、この金額ですよ。条件面だけ見ると意味がわからない状況です。
繁忙期の実態
先ほどは「忙しくない時の労働環境」でしたが、パティシエ業界にはクリスマスとバレンタインシーズンという書き入れどきがあります。
怖いもの見たさで繁忙期について聞いてみました。
クリスマス
クリスマスの3日前くらいから寝袋を持参し、店舗に泊まり込みになる。早朝から深夜まで仕込みや準備を行い、銭湯に通うという生活に。
新人の頃の寝床はお客さんが出入りする接客スペース。ここにはお菓子が陳列された棚が置いてあるため、12月でも暖房をつけることはできません。
そのためまだ温かいオーブンの横にダンボールを敷いて眠ったり、ショーケース近くに移動しその熱で暖をとったりと工夫を凝らしながら寒さに耐えていたそうです。
先輩クラスになると、休憩スペースで眠ることが許されます。ここにはエアコンがあるので、接客スペースで眠るよりはまともになります。
お正月
お正月は1−2日休みがとれます。
シンドくなるのは、この休みが明けたあと。
バレンタイン
お正月休みが終わると、バレンタイン当日までバレンタインの仕込みがはじまります。
この期間は、連日始発〜終電での勤務。
2月14日まで一切休みはなく、それが約1ヶ月半続きます。
徹底した生活費のコストカット
ちなみに手取り10-13万円時代、どうやって東京で暮らしていたのか聞いてみると、
- 家賃:56,000円
- 仕送りなし
- エアコン冷暖房は絶対につけない
- スーパーに行く時は、これを買う時はこのお店!と徹底した
- それでも貯金はできていた
仕事は仕事で過酷な環境下にありながらも、家に帰ったら帰ったらで涙ぐましい努力と無慈悲な現実があるのです。
過酷だけど、やり甲斐のある仕事
通常の勤務は1日15時間労働、週1日の休み。繁忙期は職場に寝泊まり、または始発から終電までの連日勤務。それなのに手取りは10万円弱。
そんな条件の悪い環境、普通の人間は耐えられません。
それだけ身を粉にしてそこで働く理由は一体なんなんでしょう。
パティシエ業界のこの長時間労働・低賃金の悪慣習、いったいなんなんでしょうね。
新卒のパティシエの離職率は1年以内で約70%。3年以内で90%、10年以内になると99%という驚愕の数字がでているそうです。
ということで、この続きはまた次回。
つづく~!